時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

増税延期2年半は税制の見直し期間に

 安倍首相は、予定されていた消費税率10%への引き上げ時期を2年半延期する方針なそうです。一先ずは、”延期”ということですが、この2年半は、税制の抜本的な見直し期間とすべきではないかと思うのです。

 その理由は、『パナマ文書』にあります。第1に、過去最高益を記録しながら、企業の多くは、節税対策としてタックス・ヘイブンに資金を移しております。その額、ケイマン諸島だけで60兆円にものぼるとされています。先の伊勢志摩サミットやOECDなどでも企業の租税回避行為に対する規制強化の方向が示されていますので、今後は、徴税強化により、法人税収入が増加する可能性があります。第2に、富裕層の租税回避行動につきましても、国税庁の調査の結果、脱税に当たる場合には、追徴課税が為される、あるいは、監視が厳しくなりますので、税収のアップが予想されます。第3に、『パナマ文書』には創価学会の名も掲載されたそうですが、巨額の資金を運用する宗教法人に対する課税も、見直しを要する不公平税制の一つです。つまり、2年半後に増税が必要か否かは、税制の見直しを行った後に判断すべきではないかと思うのです。

 また、『パナマ文書』とは、直接には関係はありませんが、舛添知事の一件は、財政の全般のチェックは不十分である現状を示しており、公金の無駄遣いは東京都に限ったお話ではなさそうです。消費低迷が問題視されているのですから、消費を喚起する景気対策としても、できる限り消費税増税は避けるべきではないかと思うのです。

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