時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

イギリスは歴史の教訓に学んだ?

 EU離脱を選んだ英国国民は、感情に流された非理性的な人々と描くマスコミも少なくありません。”衆愚”とでも言いたげなのですが、果たしてこれらの人々は、誤った選択を行った愚か者なのでしょうか?

 こうした衆愚説がある一方で、イギリス国民の選択は、”衆賢”である可能性も指摘することができます。何故ならば、かの偉大なるローマ帝国もまた、”移民”によって滅亡しているからです。西ローマ帝国は、ゲルマン民族の大移動によって滅亡したとされていますが、ゲルマン民族に外部から侵略されたというよりも、内部化が主要な滅亡原因となりました。かつてのローマを建国したローマ人は、殆ど姿を消し、その末期において、西ローマ皇帝の座に就いた者も、西ローマ帝国軍を率いて戦った将軍も、その殆どが異民族やゲルマン系民族の出身者という有様でした。

 こうした歴史に鑑みますと、かくして、移民の流入を危惧する人々は、歴史の教訓に学び、自国の滅亡を事前に防ごうとしている人々であるとも、捉えることができます。すなわち、賢い人々、すなわち、”衆賢”であるとも、言うことができるのです。

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