時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”退位”を戦前回帰の阻止と解釈する奇妙な主張

 ネット上では、8月8日の天皇陛下のお気持ち表明につき、奇妙な説が主張されているようです。それは、お言葉において”象徴天皇”に幾度となく言及されたのは、明治憲法下の天皇の位置づけに戻したくないという強いご意思の現れであるというのです。

 しかしながら、この主張、次代の天皇を全く無視しております。今上天皇の譲位により、東宮が登極するとしますと、果たして、国民の多くは、第一条以下第八条までを改正し、天皇統治権を総攬する立場へと転換する憲法改正に賛成するでしょうか。

 昭和天皇は、乃木大将に厳格に養育され、自己を厳しく律する帝王学を身に着けておられました。良子皇后もまた、宮家よりお輿入れされており、公平無私な国母としての立場を体現されておりました。昭和天皇が、国民の崇敬を集めたのも、戦前の皇室を取り巻く厳しい環境あって鍛えられた君徳や高い見識、すなわち、私よりも国家・国民を第一としてきた姿勢にこそ求められるのです。

 したがいまして、このような崇敬の理由を考えますと、自己の利益(幸せ)と、家族第一主義を貫いてきた東宮、即ち、次代の天皇に、君徳や公平無私を期待するには無理があります。しかも、昨日の記事でも述べましたように、出自等に関わる重大な情報が国民に知らされていない上に、反日で知られる小和田家もバックに控えているとなりますと、天皇みずからが、日本国を意図的に衰退に向かわせるかもしれません。こうした懸念がある以上、憲法改正に際しての国民投票おいて、国民多数が、明治憲法における天皇の位置づけの復活を支持するとは思えないのです。

 現代という時代にあっては、皇室が著しく変質したのと同様に、国民の方の意識も大きく変化しております。本件に関しては、将来を見通した議論こそ望まれるのではないでしょうか。

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