重大なる”天皇の意思”問題
とりわけ、女性天皇、あるいは、女系天皇を認めるのか、否かの判断において、この問題は深刻化します。今般のお気持ち表明では、この問題には触れておりませんが、仮に、東宮が即位後に”天皇の意思”として、女系天皇容認が明確に示した場合、今般の対応のように、先例として、”天皇の意思”を最優先とするならば、誰もが反対のしようはなくなるからです。
また逆に、今上天皇が、譲位以前の段階において、皇位の男子継承を明言していた場合には、先帝との間に二つの”天皇の意思”が並び立つことになり、どちらを優先するのか判断に迷うことになります。天皇の個人としての意思とは、代替わりにより如何様にも変わるのですから、”天皇の意思”を最優先としますと、思わぬ事態を招くかもしれません。仮に、将来の天皇が、女系の承認のみならず、”天皇の意思”として、国家祭祀を放棄したり、中国の”冊封”を受けると宣言した場合、一体、どうするのでしょうか。女性天皇ともなれば、弓削の道鏡事件が再発しないとも限りません。
神としての”天皇の意思”ではなく、人としての”天皇の意思”への絶対忠誠であるならば、日本国の皇室は、北朝鮮の体制に限りなく近づくことでしょう。この点、”天皇の意思”の絶対化はあまりにもリスクが高く、代替わりによる”天皇の意思”の転換や”天皇の意思”による伝統や慣習の否定といった事態にも備えるべきなのではないでしょうか。
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