時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「貧困女子高生問題」-貧困ビジネス隠しも”恐るべき本質”では

 NHKの報道を切っ掛けとして、「貧困女子校生」問題が、批判派と反批判派との間で議論を呼んでいます。批判派の主張は、NHKと出演した女子高生の捏造報道にありますが、一方の擁護派は、批判派の主張を”弱者叩き”として”批判の批判”を展開しています。

 反批判派は、遂にデモ隊まで結成して政治運動化しておりますが、ネット上でも、”NHK「貧困女子高生」報道へのバッシングは、問題の恐るべき本質を覆い隠した”と銘打った記事も見受けられます。しかしながら、この問題において”隠されている恐るべき本質”とは、背後に疑われる貧困ビジネスなのではないでしょうか。

 実のところ、批判派と反批判派の論点はかみ合っておらず、批判派は、弱者や貧者を叩いているのではなく、背後で児童の貧困問題を演出している人々を批判しております。仮に、この番組が、ありのままの貧困家庭の生活を報じたのであれば、こうした批判は起きなかったはずなのです。否、事実であれば、真剣にこの問題を対策を議論したことでしょう。ところが、NHK、並びに、出演した女子高生が虚偽を交えたばかりに、一般国民から貧困ビジネスを疑われる結果となりました。疑いがある以上、反批判派の声高の”弱者叩き”の糾弾は、貧困ビジネスという”本質”隠しにしか見えなくなったのです(”貧困ビジネスを追求するな”と言っているように聞こえる…)。貧困ビジネス批判を弱者叩きにすり替えるのは、詭弁的な誤魔化しです。

 反批判派の活動が活発化したことで、むしろ、貧困ビジネスが潜んでいる可能性は高まったのではないでしょうか。生活保護の不正受給の問題とも共通しておりますが、社会福祉社会保障政策には、貧困を自らの利益の為に利用する人々が隠れているものです。「貧困女子高生」の報道によって、児童の貧困問題は、その実態解明、並びに、貧困ビジネス問題という、二つの側面からのアプローチを要するようになったのではないかと思うのです。

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