時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主主義を損なう政治家の二重国籍-”国民による政治”の問題

 蓮舫議員の二重国籍問題を機に、二重国籍の問題が俄かに国民の関心を呼ぶようになりました。一般の人々の二重国籍に関するリスクは先日の記事で認めましたが、本日は、政治家の二重国籍に絞ってこのリスクを指摘しておきたいと思います。

 政治家の二重国籍における最大のリスクとは、民主主義を損なうことです。民主主義と申しますと、兎角に選挙権の問題に矮小化されがちですが、被選挙権こそ、国家の独立性、並びに、国民による自治と直結しています。リンカーンはかつて、民主主義を称して”人民(the people)の、人民による、人民のための政治”と述べましたが、この言葉の内、特に国民自らの手による政治を実現するためには、政治家もまた国民である、つまり、少なくとも法的にはその国の国籍を有する必要があります。二重国籍者も、国民であることには変わりはありませんが、二重国籍者が政治家となると、他のもう一つの国籍国の対人主権も及んでいるのですから、公的権力が、このもう一方の国の為に行使されるリスクが必然的に伴います。蓮舫議員は、政治家の道を選んだ動機として、子供に対する政策の改善を挙げておりましたが、政治家ともなれば、防衛、外交、安全保障といった対外関係に関する領域にも関わります。この時、果たして、二重国籍の政治家は、日本国のみに忠誠を尽くし、日本の国益のみを考えて政治的判断をなすのでしょうか。もう一方の国籍国からしますと、それは、自国民の”裏切り”にもなりますので、日本国の方を”裏切る”よう、圧力をかける事態も想定されます。

 民主主義の価値は、国民による政治によって支えられているのであり、二重国籍の政治家が、もう一方の国籍国を優先する場合、事実上の”外国人支配”となる恐れもあります。最悪の場合には、国家としての独立性さえ危うくなるのですから、二重国籍は、一般人であれ、政治家であれ、やはり認めるべきではないと思うのです。

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