時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

天皇生前退位問題-疑われるスケジュールの存在

 天皇生前退位-譲位-問題については、国民も、どこか不自然さを感じているのではないかと思います。本日の日経新聞の朝刊一面では、天皇陛下の強い意志による発案であったとされていますが、腑に落ちない点もないわけではありません。

 この問題は、日本国憲法に誠実に従いますと、天皇の地位は国民の総意に基づくものとなりますので、最終的には、国民の判断ということになるのでしょうが、現状では、国民投票の制度は存在していません。何れは、憲法改正時の国民投票の実施に関する手続き法が制定されたように、本件についても法整備が必要性が生じるのかもしれませんが、国民投票制度を欠く以上、現行の制度で対応するしかないのです。

 そこで政府は、有識者会議を設置することで、当問題について検討する機会を確保するようです。有識者会議のメンバーを見ますと、首を傾げたくなるような人選も見られるのですが、さらに不安を募らせているのが、今般、公表となったスケジュールです。年内に7回もの会合を開き、結論を急ごうとしているからです。昨年暮れも、慰安婦問題に関する日韓合意が、あたかも急き立てられるかのように纏まりましたが、この時と同様の切迫感があるのです。

 焦りや切迫感とは、何らかのスケジュールが無ければあり得ないことですので、天皇生前退位-譲位-問題についても、背後に何らかの計画性が伺えます。このスケジュールは、一体、誰が立てているのでしょうか。国民のあずかり知れぬところで、何らかのスケジュールが進行しているとしますと、国民の、皇室、そして、その後ろにあるなにものかに関する不信感は増すばかりとなるのではないでしょうか。

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