時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

憲法違反かもしれない裁判員制度

 国民の中から抽選で裁判員を選ぶという裁判員制度は、2009年から制度の運営が開始される予定のようです。議論らしい議論なくして導入が決定されたのですが、この制度の導入には、どうしても腑に落ちない点があるのです。

 まずはじめに疑問としてあげられるのが、この制度自体が、日本国憲法に違反するのではないか、ということです。憲法第80条には、

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。」

とあります。

 今回予定されている裁判員制度の裁判官は、事実認定のみを行う陪審員とは異なって、量刑についても判断する権限を持ちますので、職務内容は裁判官とかわりはありません。別の名称であっても、実質的には裁判官と裁判員は、等しく司法権を行使することになるのですから、これは、憲法に違反してしまうのではないか、と思うのです。