時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

教育の使命と教職員組合運動とのミスマッチ

 我が国では、日教組と呼ばれる教職員組合が全国レベルで組織され、学校教育に対して隠然たる影響力を及ぼしています。近年に至って、組織率が低下したとは言われていますが、教職員が教育内容にまで踏み込むことは、果たして許されることなのか、と考え込んでしまうのです。

 教育の心髄は、人に、生きる上で必要となる知識を与え、人を、健やかに育むことにこそあります。複雑化した現代社会では、家庭教育のみではこの使命を果たすに充分ではなく、学校教育がどうしても必要とされるのです。学校教育とは、国家レベルで見ますと、いわば、国民からの委託された使命を果たすこと、ということになりましょう。

 しかしながら、学校教育の本来の使命と教職員組合の運動目的とは噛み合ってはいません。教職員組合は、社会・共産主義イデオロギーを基盤に組織されていますので、その運動の目的は、極めて政治的な色彩を帯びているです。こうなりますと、教育と運動との優先順位が逆転してしまい、組合員にとりましての学校組織は、教育の場ではなく、運動の現場でしかなくなります。しかも、学習内容に、イデオロギーが滑り込んできますので、子供たちは、特定のイデオロギーに染め上げられてしまうかもしれないのです。

 教育が預かりものであることを考えますと、教職員組合の運動は、教師という優越的な立場の濫用に思えてならないのです。全国の先生方が、本来の教育のあり方に立ち帰る日がくれば、日本国の教育にも未来が開かれるのではないでしょうか。