時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

心が痛む対北政策の転換

 自民党の総裁選挙の結果、福田氏が総理に選出されますと、対北政策が大きく融和の方向に転換するであろうことが予測されています。もし、この予測が現実ものとなったならば、日本国民の一人として、心の痛みを禁じ得ません。

 祖国に帰りたくとも帰れない人々、家族に会いたくても会えない人々、こうした拉致被害者の人々を、我が国は、かの地に見捨てることになります。帰国された被害者の方々の報告からも、かの地での生活は過酷なものであることが窺えます。しかも、国交正常化に伴い、多額の経済支援を強いられるとしますと、それは、独裁体制を強化し、特権者の懐を潤すことにしかならないのです。

 国家には、国民を保護する義務があります。また、自国の主権侵害には厳しく対応しなければなりません。それにもかかわらず、日本国は拉致被害者を救出することができず、今なお、救出を待つ被害者とその家族の方々の悲しみは続いているのです。日本国政府、ならびに国民は、国家としての義務と良心を捨ててはならないのではないでしょうか。