時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

同盟政策は従属にあらず

 日米同盟とはアメリカへの従属の象徴である、とする見方が、戦後の安保成立の経緯から、特に左派を中心に唱えられてきました。しかしながら、敗戦という事実がなくとも、国家が独立した国家として、平時に同盟政策を追求することは当然のことです。対米従属論は、必要以上に日米同盟の姿を歪めているように思えるのです。

 他の旧枢軸国を見ましても、ドイツやイタリアは現在NATOに加盟しておりますが、このことによって両国がアメリカの属国となったとする見方はありません。NATO加盟諸国は、相互に相手の立場を尊重しながら、いざ!という時には、共同で防衛できる体制を築き挙げているのです。同盟政策を従属と見るならば、どの国も、他国と同盟関係を結ぶことはできなくなってしまいましょう。

 日米同盟に反対を唱えるならば、国民の誰もが納得するような代替案を示し、かつ、具体的な同盟相手を挙げて議論を行うべきではないでしょうか。チベットを現実に侵略している中国が、我が国の同盟相手として相応しいとは到底思えないのですが…。