時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

対アジア外交における日本国の使命とは

 中国や北朝鮮の国民が、自国の政府に対して不満を抱いていることは、中国での暴動事件や脱北者の報道から伺い知ることができます。この不満は、当然に、これらの諸国の強圧的な国家体制に起因しているのですが、我が国が、外交政策として、こうした諸国の政府と友好を深めることは、長期的に見れば、相手国国民からの反発と不快感を招く危険もあります。

 共産主義体制や金正日体制は、歴史上に類を見ないほど、政治、経済、社会など、すべての領域にわたって、国民の自由を抑圧する体制です。それ故に全体主義と呼ばれるのですが、洗脳によって支えられている全体主義体制が弛み始めますと、今までの鬱積を晴らす如く、国民が、一気に反政府運動に向かうことは稀ではありません。今でも、本当は、中国も北朝鮮も、体制崩壊が起きてもおかしくはないのです。

 このように考えますと、日本国政府は、自由と民主主義の味方であること、相手国の国民の幸福を願っていること、そうして、政府による国民弾圧には反対であることを、常に、メッセージとして送り続ける必要があると思うのです。そうして、アジア諸国に、良き統治が訪れることに最大限の努力を払うことこそ、日本国の使命と言えるのでないでしょうか。