時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

密室政治では国民の信頼を得られない

 自民党の総裁選挙は、我が国の首相を決める選挙でもあり、国民への影響も決して小さくはありません。それにもかかわらず、両候補者による街頭演説も自粛するとの新聞報道があり(9月18日付日経夕刊)、まことに残念な限りです。

 公開の演説も議論もなく、一部の人々の密かな合意して党首を選ぶ、という不透明な方法では、政権が誕生した後に、どのような政策が実施されるのか、まったく国民には分かりません。つまり、政権が誕生して初めて、国民は、これから何が起きるかを知ることになるのです(それが、どんなに酷い政策でも…)。これでは、民主主義の原則に反しますし、何よりも、選出のプロセスと正当性に懐疑心を持ってしまいます。

 良き政治の条件の一つに、”国のリーダーが、国民からの信頼を得ている”、ということを挙げることができます。国民の心に不信をもたらすような方法では、到底、首相と国民の間に信頼関係を築くことはできないでしょう。信頼の欠如は、やがては、人心の離反を招くのではないかと思うのです。