時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

狼少年になったマスコミ?

 阿倍政権に対するネガティブ・キャンペーンから昨日の総裁選挙に至るまでの期間に、日本国民は、マスコミについて、幾つかの見たくない現実を見せつけられることになりました。

 第一に、マスコミが流す情報には、政治的な意図が働いている、ということです。この事実は、同じようなスキャンダルや不正があっても、前政権には対しては異常な程に厳しく、発足予定の新内閣や野党には、極めて甘いことから分かります(同一基準であれは、ほとんどの議員が、党役員や閣僚になれない…)。また、総裁選の投票が終わらぬうちから福田氏確定情報を流しては、バンド・ワゴン効果が働いて、議員や党員の投票行動に影響を与えかねません。これでは、不公平と言えましょう。

 第二に、日本国には、健全な民主主義が働いていない、ということです。首相の決定過程に、一部マスコミのトップが関わったこと、派閥の領袖の合意があったこそ、そうして、党員の投票総数では麻生氏が優ったのの、福田氏が選出されたことは、何か、民意と離れたところで重大な決定が行われている、という印象を国民に強く残しました。

 第一の点も第二の点も、マスコミの存在が関与しており、歴史に登場した全体主義国家が、まずは、マスコミ(情報の流れ)を押さえたことに思い至りますと、そら恐ろしい気がいたします。これでは、誰もが、マスコミを狼少年とみなし、その伝える情報を信じなくなってしまいましょう。それとも、マスコミは、狼少年ではなく、大人になった狼男なのでしょうか。明日は、中秋の名月です。