時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ミャンマーの安定は民主化以外にない

 軍隊とは、そもそも、外部から攻撃を受けた場合に、武力を用いて国家と国民を守るために存在しています。つまり、軍隊とは、国防という任務においてこそ、本来の力を発揮するのです。

 しかしながら、軍隊が政治的な権力を掌握しますと、この物理的な力を、国防以外の別な目的に用いるようになります。この場合、もちろん、民主的な制度はなく、国民の政治的な不満や反発を国政に届ける仕組みはありません。このため、国民の意思表示の手段は直接行動しかなく(デモ)、軍政もまた、国民に銃を向けることによって、これを抑え込もうとするのです。政治的な失敗は、国民の反政府デモ、軍による弾圧というお決まりの連鎖を生みだすのです。

 この連鎖を、根本的に断つ方法は、民主化以外にありません。ミャンマーの真の安定は、弾圧ではなく、国民の意思を平和裏に政治の舞台にとどけることができる、民主的制度を構築することによってしか得られないのです。