時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ミャンマー情勢の”鎮静化”に注意を

 ミャンマー情勢に対して使われている”鎮静化”という言葉は、使う者の立場によって、180度違う内容を意味してしまう可能性があります。

 日本政府を始めとして、民主国家の多くは、この”鎮静化”という言葉を、政府が国民に対して武力弾圧をしない状態、つまり、民主化への道を歩み始める段階として理解しようとします。しかしながら、その一方で、ミャンマーへの圧力を強めようとしている中国や、ミャンマー政府自身にとって、この言葉は、徹底的にデモを弾圧し、国民を黙らせることを意味するかもしれません。中国が、天安門事件に際して断行した武力弾圧は、そのままミャンマー政府のお手本となるかもしれないのです。

 ですから、内容を確かめないで迂闊に、ミャンマー政府に、”鎮静化”を求めますと、国民が軍部による容赦ない弾圧にさらされる危険もありますので、充分な注意が必要なのです。