時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

今こそ日本農業の転換点

 昨晩、NHKの衛星第1チャンネルで、「穀物高騰の衝撃」というドキュメンタリーが放映されていました。この番組を見ますと、日本の農業が、戦後最大の転換期を迎えていることは確かなようです。

 それは、アメリカのエネルギー政策の転換に伴い、穀物生産の目的が、輸出から代替エネルギー供給(エネルギーの自給)へと、大きくシフトしたことに起因しています。つまり、アメリカで生産される穀物の大半がバイオ・エネルギーの生産に向けられるようになったために、日本国は、もはや海外からの穀物輸入に頼れなくなってしまったのです。こうした中で、日本国のとるべき道とは、安価な食糧の大量生産、ということに帰着するようです。これまでの農政を見直して、1億3千万人が生きてゆくために必要な食料が生産できる体制を、至急に構築しなくてはならないのです。そのためには、農地規制の撤廃、大規模化の促進、遊休地の有効利用など、打てる手はすべて打つ必要がありそうです。また、当面の措置としては、食糧価格を下げるための高率関税の見直しも検討してしかるべきと言えましょう。

 自民・民主とも、農家保護一辺倒になりがちですが、食糧生産力をアップさせる政策こそ、現在、最も急がなければように思うのです。アメリカのみならず、どの国も、自国の穀物輸出に消極的になりつつありますので、我が国において、食糧不足が起きないとも限らないのです。