時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

宗教法人の認定にも安全基準を

 本日、オウム真理教の幹部であった林泰男被告の死刑が確定したとのニュースが報じられました。オウム真理教が、宗教法人の認定を受けていたことを考えますと、この事件は、まことにそら恐ろしいと思うのです。

 そもそも、宗教法人の認定とは、いわば、宗教集団に対して、公的な”お墨付き”を与えることですので、”安全基準”を満たした場合にのみ、認定すべきはずです。例えば、テロや殺人を教義として容認していたり、政府の暴力的転覆を目的としていたり、国家組織の合法的な乗っ取りを画策していたり、あるいは、国法に対する自らの教義の優位を説いているような場合には、”安全基準”を充たしているとは言えません。また、脱会を認めなかったり、信者を拘束するような宗教も、国民の自由を侵害する憲法違反の宗教集団となりましょう。国家の秩序を崩壊させ、国民に危害を加えるような宗教は、宗教法人としての資格を持たないのです。また、オウム真理教の教祖が、国政選挙に立候補した際に、何故、誰も、政教分離を定めた憲法違反を持ち出さなかったのか、不思議な限りです。

 今後も、宗教という隠れ蓑をまとった犯罪集団が現れるとも限らないのですから、認定に際しては、教義をも対象に含めた充分な審査が必要でしょうし、既に設立されている教団にたいしても、犯罪事件や違法行為を行った場合には、即刻、認定を取り消し、解散させるべきと言えましょう。刑法などの法律に根拠があれば、これを”宗教弾圧である”として反論することはできないはずです。何れにしましても、宗教集団が、人々の安全を脅かすことはあってはならないと思うのです。