時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ゆとり世代の若者は教育政策の犠牲者

 何年か前のテレビ番組で、中国の文化革命に際して”下放”された中年世代の人々が、自分たちの世代は、教育も充分に受けることができず、今では、社会のお荷物扱いされている、と嘆く姿が放映されたことがあります。今日、我が国でも、ゆとり教育を受けた若者が、自信を失い、かつ、他の世代から冷たい視線を向けられているという報道に接し、心が痛む限りです。

 このままゆとり世代の若者が、社会人となりますと、知識の量や思考力の鍛え方が足りていませんので、後から来る世代との競争にも負けてしまうのは目に見えています。それでは、同じ国民として、あまりに不憫です。ゆとり教育の失敗は明らかなのですから、教育政策を誤った政府は、ゆとり教育を受けた世代に対して、再教育のチャンスを準備するべきではないか、と思うのです。例えば、現役であれば補講を増やすとか、卒業後の場合でも希望する教科があれば履修と単位取得を許すとか、あるいは、大学に基礎教育コースを設置するとか、何らかの方法が考えられるばずです。もちろん、ゆとり世代の若者が、自主的に再学習することも大切なのですが・・・。

 ゆとり世代は、まだ若者ですので、今ならば、取り返しがつくかもしれません。ゆとり世代の若者もまた、みずからの置かれている状況を自覚することによって、この困難を乗り越えていっていただきたいと思うのです。