時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

NHKと宗教団体の癒着問題

 NHKとは、国民の受信料によって支えられている公益法人なのですが、最近、頓に、創価学会の宣伝塔と指摘されているタレントの起用が目につくようになりました。この現象は、NHKのみならず、政府広告にも見られます。果たして、公益法人や政府機関が、特定の宗教団体の宣伝に利用されたり、組織的な上納金制度に組み込まれたりすることは、適切なことなのでしょうか。

 特にNHKは、政府からの独立性の確保を熱心に主張しながら、民間の特定の宗教団体との癒着については、さして関心を払っていないようです。実のところ、国民が、心から恐れるべきことは、政府による放送局に対する介入ではなく、ある一定の思想や宗教集団に、NHKを牛耳られることかもしれないのです。何故ならば、放送局という広報手段を手に入れれば、その集団は、国民を、自分たちの信じる特定の思想や宗教に染めることができますし、また、受信料や税金を自らの集金システムに組み込むこともできるからです。もちろん、自らに都合の良いように、世論操作をすることもできます。これでは、公共放送は、特定の集団に奉仕する組織に堕してしまうことになりますし、国民にとりましては、不愉快極まりないことになるのです。

 国民の受信料で運営されている限り、NHKは、特定の私的集団からの圧力に屈してはなりませんし、ましてや、その手先となってはならないと思うのです。”皆様のNHK”と口では言いながら、画面には、宗教団体の宣伝塔ばかりを並べては、誰が見ても、言行不一致は明白なのではないでしょうか。