時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

政府系ファンドの線引き問題

 原油価格の高騰を受けてイスラム金融が投資の場を広げており、日本国政府も、優遇税制などを通して、イスラム諸国の政府系ファンドの資金導入を積極的に図ろうとしているようです。その一方で、中国の政府系ファンドの動きは、帝国石油の買収計画の指摘のように、自国の安全保障と国益を大きく損ねる可能性があります。そこで、イスラム諸国はよくて、中国はだめである理由を、相手方も納得するように、明確にしなくてはならないと思うのです。

 第一に基準とすべきは、双方の間に、領有権問題といった対立要因がないことです。サウジアラビアやドバイなどの石油産出国の場合、日本国との間に深刻な政治問題を抱えていませんので、政府系ファンドの受け入れに支障はないかもしれません。一方、中国の場合には、尖閣諸島東シナ海の問題がありますので、この基準から外れることになります。

 第二に、投資対象についても、安全保障上の基準を設けることができます。例えば、自国の天然資源の採掘に携わる”国策会社”や有事に際して自国の防衛に必要不可欠となる施設については、対象から外したり、有事に際しての接収や軍による利用の許諾と言った条件を付すこともできます。

 第三に、共産主義体制による一党独裁など、政治体制の異なる国からの投資に対しても、制限を設けることも考えられます。

 少なくとも、以上の三つの基準だけは明確に示しませんと、後々禍根を残すことになるのではないか、と思うのです。

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