時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

危険地帯の渡航にはルールづくりを

 昨日、イランにて長らく人質となってきた青年がようやく解放されることになりました。イラクでの人質事件の際にも議論になりましたが、政府の邦人保護と個人の責任との関係は、未だに曖昧な部分を多々残しているようです。今後、同様の事件が起こるとも限りませんので、危険地帯の渡航に関しては、ルール作りを行っておいたほうが良いのではないか、と思うのです。

 政府が、外国において人質となった邦人を、すべて救出するためには、当然に、特殊部隊の派遣を含めて、あらゆる手段を準備しておかなくてはなりません。北朝鮮による拉致事件のように、相手国政府が事件に関与する場合には、戦争も辞さないことになります。本人の意思にかかわりなく、邦人が海外に連れ去られた場合には、国家の正当な対応は、あらゆる手段を尽くしての救出です(武力行使を伴う可能性があるのに、平和主義者ほど、政府による交渉や救出を求める論を張ることが、不思議でなりません・・・)。

 その一方で、政府が、渡航を禁止、あるいは、自粛を求めている国や地域に、国民が、自らの意思で出向いた場合はどうでしょうか。この場合には、個人の自己責任論が浮上してくることになります。何故ならば、危険であることを本人が、十分に認識しており、かつ、政府の指示に反して渡航しているからです。救出のためには、莫大な費用を要しますし、また、戦争や国際紛争にまで発展する可能性もあります。しかも、もし、身代金を支払うことになれば、テロ組織に資金を供給することにもなりかねないのです。

 このように考えますと、1.政府の渡航禁止令の対象国であること、2.本人が自分の意思で入国したこと、3.本人が危険地帯であることを認識していたこと、の条件に当てはまる場合には、相手側組織に無事の解放を求め、相手国政府に対する書面の依頼を行っても、テロ組織との交渉はすべきではないと思うのです(もし、それでも渡航したいならば、政府に対して、交渉不要の一筆を提出すべきなのでは・・・)。

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