時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北京オリンピックは煙幕なのか

 ダライ・ラマ14世の発言によりますと、中国政府は、今月の18日に、再度チベットにおいて弾圧行為を行い、チベット人の死者は140名ほどに上ったそうです。一般常識から考えますと、少なくとも”平和の祭典”と称される北京オリンピックの間だけは、中国政府も自制心を働かせるはずなのですが、この常識は、やはり通用しなかったようです。

 むしろ中国の方が、国際社会の常識や期待の裏をかき、北京オリンピック開催を理由に全国の取り締まりを強化できるこの期間を利用して、チベット人ウイグル人に対する弾圧を強めた、と見ることもできます。マスコミや世論の関心は、オリンピックに向いていますので、激しい批判や反発を招くことなく目的を達成できる絶好の機会と考えたかもしれないのです。現に、日本国内のマスコミの報道を見ますと、新聞紙面の大半は、オリンピック関連の記事で占められており、その陰で進行している悲劇については、それほど紙面を割いているわけではありません。

 北京オリンピックの開会式が行われた8月8日には、ロシア軍によるグルジア戦争が勃発し、この事件でも、オリンピックは、世論の関心をそらす役割を果たしました。オリンピックが、侵略や弾圧の煙幕に使われたとしますと、これ程、酷い国はないのではないか、と思うのです。

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