時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

裁判員制度反対は理解不足から?

 昨日、裁判員制度について、弁護士会の方が、国民の反対理由を、制度に対する理解が足りないからである、と分析されていました。しかしながら、この分析は、当たっているのでしょうか。

 人間とは、物事を、理解すればするほどに、それを支持するようになるとは限らないようです。むしろ、詳しく知れば知るほど、疑問が湧いたり、欠点を見つけてしまって、不支持にまわることも少なくありません。裁判員制度についても、法律が、国会で全会一致で採択された時には、内容が分からずとも、何か、民主的な良い制度、という印象をもった方が多かったのではないかと思います。しかしながら、施行が間近に迫り、具体的な制度の姿が国民に見えてきたからこそ、むしろ反対が増えたとも言えるのではないでしょうか。採択の時に賛成票を投じた政党の中にも、今では、反対や延期を唱える政党も現れてきていることも、反対の原因が、理解不足ではないことを表しています。

 このように考えますと、国民が理解不足なのではなく、理解した上で反対していると捉えた方が、妥当なようです。もし、そうであるならば、現実を直視し、この制度のどこに欠陥があるのかを分析する方が、よほど、有意義ではないか、と思うのです。

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