時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

金融リスクの移転先は政府?

 日本国の財政赤字は今年も増え続け、政府の累積赤字は、今年度末には553兆円に達する見込みと言います。何故このような巨額の財政赤字が発生したのか、と言いますと、バブル崩壊で失った”富”を財政で補填しようとしたからなのではないか、と思うのです。

 戦後、長らく日本国は健全財政を心がけ、先進国の中でも財政の優等生でした。ところが、この優等生は、あっけなく問題児に転落してしまったのです。その原因は、バブル崩壊後の異常なまでの財政拡大政策にあったと言うことができます。これを機に、日本国の財政赤字は、ものすごい勢いで増加しつづけるのです。もちろん、この背景には、不良債権を大量に抱えた金融機関への公的資金の投入などもありましたし、また、積極的な公共事業の発注もありました。つまり、金融不安から発生したリスクを、すべて政府が背負い込むことで、バブル崩壊後の経済を維持したことになります。

 しかしながら、この対処法ですと、莫大な財政赤字を後世に残すというデメリットがあります。小康状態を保ちつつも、何時、財政が破綻するかわからないという、恐怖の中に置かれてしまったのです。アメリカ政府は、AIGに対して75兆円の公的資金の投入を計画しているようですが、それですんだのでしたならば、日本と比較しますと、まだよいほうなのかもしれません。

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