時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中川財務相の辞任―閣僚辞任の基準とは?

 昨日、G7財務相中央銀行総裁会議の記者会見における失態を理由に、中川財務相が辞任されました。中山前国交相を始めとして、閣僚の辞任が相次ぐことになりましたが、一連の閣僚辞任劇の共通点は、マスコミの批難報道が先行するということです。

 この現実は、閣僚の辞任については、マスコミが基準を作っていることを意味します。長期にわたって日本国の政治が混乱している現実を考えますと、マスコミが閣僚を追い詰める形での辞任騒ぎの繰り返しは必ずしも望ましいとは思えません。そこで、閣僚辞任には、一定のガイドラインや基準を設けるべきではないか、と思うのです。例えば、一連の事件からは・・・

(1)閣僚が、国会議員として発言する場合には、憲法第51条の規定により、その責任を問われることことはない(閣僚としての担当分野以外の発言は自由・・・)。
(2)一過性の病気が原因で職務が遂行できなくなった場合には、閣僚の辞任理由とはしない(病気で醜態を演じてしまった場合には、辞任は酷であり、無慈悲・・・)。
(3)慢性的な病気が原因の場合には、職務を遂行できないので、辞任理由に該当する。
(4)責任を問われる行為が行われた場所が、会議といった公式の場とそれ以外の非公式の場であるとを区別する(それぞれの場合の扱いは、検討課題・・・)。
(5)責任を問われた行為が、犯罪や違法行為に当たる場合には、辞任とする。
(6)責任を問われた行為が不明確な場合には、即、辞任とはせず、調査委員会などを設置し、原因を究明してから判断する。

・・・などが考えられます。少なくとも、政治上の失策を行ったわけではなく、犯罪や違法行為を行ったわけでもなく、また、会議をボイコットするなど職務を放棄したわけではなく、発言や態度といった恣意的な判断が介在しやすいケースについては、より慎重な議論が必要なのではないか、と思うのです。もし、おおよその指針としてのガイドラインがあれば、閣僚も辞任を心配せずに発言したり、行動することができますし、国民も、あらぬ疑いを抱かなくても済むのではないでしょうか。

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