時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国の核武装は表玄関から

 中国が大量の核兵器保有し、北朝鮮までもが核武装をしようとしてる状況にあっては、当然に、日本国も核武装を、という議論は起きるはずです。しかしながら、NPT条約がある以上、日本国が、一方的に核保有を行いますと、国際法違反の行為となってしまいます。

 イラク戦争では、大量破壊兵器が発見されなかったために、後に誤った戦争と非難されることになりましたが、もし、核兵器開発の証拠が見つかれば、国際社会の誰もが、この戦争を否定はできなかったはずです。また、1994年の米朝枠組み合意に先立って、アメリカは、真剣に北朝鮮空爆を検討したと伝えられています。将来において、もしイランへの攻撃が起きるとすれば、それはやはり、核開発が根拠とされることでしょう。つまり、NPTに加盟しながら核兵器の極秘開発を行うと、国際社会においては、武力制裁を受けてもいたしかたなし、と見なされるのです。

 この事実から考えますと、日本国もまた、NPTに加盟しながら核開発を行いますと、イランや北朝鮮と同列の国家になる可能性を示しています。いつの間にか、イラン、北朝鮮、日本というラインが出来上がり、国際社会を敵にまわす構図になりかねないのです。もちろん、中国にとっても、日本を攻撃する格好の口実になるかもしれません。

 もし、日本国が、核武装を行うならば、国際社会に対して日本国が晒されている立場を十分に説明した上で、(1)NPTの改正を提言し、合法的に核保有国となること、(2)日米安保核の傘条項を加えること、の何れかの道を選択すべきと言えましょう。ゆめゆめ、国際的に孤立化し、他国の自国への攻撃を正当化させるような原因をつくってはならないと思うのです。

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