時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

追加経済対策有識者会議の危うさ

 本日の新聞に、政府が、追加経済対策のための有識者会議を発足させた、との記事がありました(本日付日経新聞朝刊)。有識者の面々は、学者やエコノミストの方々のようですが、いささか疑問を感させる提言が多く含まれているように思うのです。

 会議では、失業者への生活支援など、様々な財政拡大政策が打ち出されているようです。その一方で、財源をどうするのかという議論は手薄なようで、拡大の方向に向けての一方通行のようです。もっとも、中には、20%の増税を主張する意見もありますが、国民一人当たり20万円の還付金を実施するにしても、朝三暮四の政策となりそうな気配は否めません。また、現預金や国債保有に課税する「マイナス金利政策」に至っては、金融機能そのものを否定しているようにも見受けられます。預貯金に課税されれば、預金が集まらなくなり、銀行の融資機能は低下しますし、国債に課税されれば、国債の買い手もいなくなるからです。さらには、現在国債保有している金融機関や個人も、一斉に手持ちの国債の売却に走るかもしれません。もしかしますと、”劇薬”を用いてでも、強引に財政を健全化しようという戦略なのかもしれませんが・・・。

 経済は生き物ですので、健康を回復しようと政府が何かと手を焼きますと、むしろ、悪化することもあります。有識者会議の提言については、即、政策化するのではなく、そのマイナス効果や財源などについて、喧々諤々の議論を経るべきと思うのです。

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