時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

G20―国際協調vs各国の政策くらべ

 G20を開催する限りは、誰もが、国際協調を実現し、早期に合意を形成すべきと考えるものです。この観点から、麻生首相も、財政出動に反対しているドイツを協調を乱す行為として批判したのでしょう。しかしながら、こと経済の政策手法に関しては、一概に国際協調路線が正しいとは言えないように思うのです。

 国際協調路線には、国家間でよりよい政策を競う余地を失わせてしまうという欠点があります。不景気に対して最も有効な政策を見出すためには、むしろ、各国が、独自に考案した政策を実施してみて、その結果を比較してみる方が賢明であるかもしれないのです。今回、国際協調路線に対して反対にまわっているのは、ドイツやフランスのようですが、かつては、EUにあって、政策や制度間の競争を強く主張していたのはイギリスでした。政策競争をしてみれば、どの政策が優れているのかを判断する材料を得ることができますし、また、他国の政策に学ぶチャンスともなります。

 たとえ、G20においてさしたる合意を得ることができなくても、もしかしますと、各国の政策くらべが、後世に大きな政策選択のための判断材料を残すことになるかもしれません。国際協調至上主義に陥ることなく、各国が知恵を絞って柔軟に対応するという道も、決して頭から否定はできないように思うのです。

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