時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

有識者会議は民主主義の迂回路?

 新聞によりますと、政府は、中長期的な社会保障政策や税制を検討するための「安心社会実現会議」なる有識者会議を新設するそうです。財政の危機的状況と度重なる財政出動から、将来の増税を既定路線化するための会議なのではないか、と予測されるのですが、有識者会議の設置には、民主主義に照らしますと問題点があるように思うのです。

 何故ならば、有識者会議のメンバーは、国民が選んだわけではなく、また、”有識者”という名称を冠しているように、メンバーには一般の国民は選ばれていないからです。これでは、国会議員や政党の存在意義が薄れてしまいますし、国民の声は届きそうにありません。また、政策が有識者会議レベルで決まるならば、閉じられた会議での決定ともなりかねないのです。増税といった国民に反対を受けそうな政策に限って有識者会議が設けられるとしますと、まるで、民主主義の迂回路がつくられているような観さえあります。

 ここで立ち止まって、有識者会議とはいったい何なのか、ということをもう一度考えてみる必要がありそうです。少なくとも、国民は、有識者会議に政治権力を委ねているわけではないのですから、有識者会議主導型の政治には、国民不在の危険性が伴うと思うのです。

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