時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

核拡散防止条約は違反国が得をする?

 NPT=核拡散防止条約の最大の欠点、それは、条約の内容を誠実に遵守している国よりも、違反した国のほうが”得”をしてしまうことなのではないでしょうか。

 ある極めて危険な凶器が出現してしまい、人々が、お互いにその凶器を使うことを恐れるような事態が発生します。そこで、人々は、現在、その凶器を持っている人々に凶器の安全管理を任せ、自らは、その凶器を持たないことを約束することにしました。さて、この約束によって、人々の安全は守られるようになったのでしょうか。どうやら、この約束では、人々の安全は守られなかったようなのです。何故ならば、(1)凶器の保有者が安全管理を怠ったたり、(2)ルールを破って保有した人に、凶器の放棄を強要する仕組みがなかったからです。しかも、他の人が無防備な状況にある中では、一人だけ凶器を持つ人が現れた場合、その凶器の保有者は、残りのルールを守っている人々を脅かすことができます。こうして、この凶器の相互放棄の約束は、結局、違反者を利すことになってしまいました。


 NPT体制とは、まさに以上に述べたような状況にあるのではないかと思うのです。もし、核拡散防止を本気で制度化するならば、現行のNPT条約には欠陥があり、見直しが必要となりましょう。そうして、もし、管理者義務や制裁規定を設けるなど、有効な仕組みを作ることに失敗したならば、この条約の存在意義は失われてしまうことになりましょう。

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