時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”JAPANデビュー”―歴史を曲げる罪

 本当は、どの国も自らの国の歴史に誇りがあるにもかからわず、自国の歴史の美化や手放しの礼賛は抑制されるようになり、近年では、事実に忠実な歴史の記述が尊重されるようになりました。こうした歴史の美化に対する反省がある一方で、歴史の醜悪化に対しては同程度の抑制は効いていないようなのです。先日、NHKで放送された”JAPANデビュー”という番組が、偏向番組として政界で批難されておりますが、この番組も、番組製作者に歴史の曲げることに対する罪の意識が欠けていることを示しています。

 意図的に歴史を美化することが非難される行為でならば、当然に、歴史を殊更に悪く描くことも批判されるべき行為と言うことになります。どちらも、事実を歪曲しており、史実に対して不誠実であるからです。しかしながら、NHKをはじめ、特定の思想の持ち主たちは、日本国に限っては、実際以上に悪い国であるかのように脚色し、日本国内のみならず、国際社会にも言いふらすことが許されていると考えているようです。それが、嘘であっても、誇張表現であっても構わず、まるで、如何なる手段を用いても、日本国を悪者に仕立てることが正義とでも錯覚しているかのように。

 自らの歴史を顧みて、悪しきところは反省することは大事なことですが、過度に醜悪に描かれた歴史を反省材料とすることもまた、歴史の歩みに対する冒涜となります。むしろ、そこからは生きた評価も反省も生まれませんし、押し付けに対する反発が起きる原因ともなりましょう。NHKには、歴史を曲げることの罪を自覚していただきたいと思うのです。

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