時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

守秘義務を外せば社会の問題が見えてくる

 昨日からスタートした裁判員制度では、裁判員には、裁判の公平性を保つために口外を禁じる守秘義務が課せられています。陪審制度の発祥の地であるイギリスでも厳格な守秘義務報道規制がある一方で、アメリカでは、言論の自由を尊重して、こうした義務や規制はないそうです。

 アメリカ型の評価すべき点は、国民が、事件の全容と判決の経緯を知ることによって、社会に存在している様々な問題について自分自身で考える機会が得られることのように思われます。刑事事件についての報道や判決に至る経緯が伏せられてしまいますと、何が原因で事件が起こり、どういう人々が被告人とあり、その被害者となるのかを、国民は十分に知ることはできません。また、陪審員裁判員の人々が、どのような根拠を以て判断を行ったかも闇の中になってしまいます。もし、裁判員制度を、国民の積極的な司法参加を目指すならば、国民の前でオープンな議論を展開してこそ、その理想を実現できるのではないでしょうか。 

 もっとも、裁判の公平性を保ちつつ、守秘義務をなくすためには、条件を整備しなければならず、第一に、報道機関は、事件について報道を行ってもよいけれども、判断はしてはなりませんし、第二に、判決の経緯を明らかにした裁判員を非難してはならないことです。守秘義務をなくせば、国民は、社会の問題が見えてくるでしょうし、あるいは、裁判員制度の問題点にも気付くことになるかもしれません。

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