時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

農家の所得補償と問われる自由化への覚悟

 民主党マニフェストに掲載を予定している農家の直接保障制度は、農村票を獲得するための”ばらまき”政策と非難されているようです。しかしながら、この政策は、農家にとって利益となるのでしょうか。

 この政策に疑問を持つのは、農家への所得補償政策とは、通常、農産物の自由化政策とワン・セットとなっているからです。現在、WTOでの交渉は行き詰まりを見せていますが、所得補償制度が導入されたとなりますと、日本国政府は、WTOでの農産物自由化に前向きに取り組むことが予測されます。つまり、将来的には関税率が引き下げられ、外国産の農産物の輸入が増加することにより、日本国の農家は、生産量も販売量も減少することになるのです。

 目先の所得保障に惑わされますと、将来的には農業自体が衰退するという将来が見えなくなります。民主党も、もし、所得保障を行うならば、良いことばかりではないことを、農家の方々に、丁寧に説明すべきとも言えましょう。抜本的な農政改革なき農産物市場の自由化は、我が国の農業に壊滅的な影響を与えるかもしれないのですから。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>