時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

田母神発言は事実調査から

 田母神前空幕長が、広島平和記念式典は左翼運動と発言したことが、非難を浴びているようです。しかしながら、この問題、まずは、広島平和記念式典の参加者やそれを取り巻く状況の実態調査から始めるべきなのではないかと思うのです。

 反核運動の担い手が、特定のイデオロギーを奉じる左翼団体であることは、良く知られてきたことであり、それ自体は、事実には反してはいません。しばしば、反対運動というものは、その当事者ではなく、政治団体が主導するものへと変質しがちであり、反核運動もまたそうした事例の一つです。最悪の場合には、”アメリカの核は悪い核であって、ソ連や中国の核は良い核である”とする見解も聞かれ、反核の目的が核兵器への反対ではなく、政治的なスローガンか、あるいは、他国の工作活動である場合もあるのです。実際に、これまで反核を訴えてきた市民団体は、中国の核戦略北朝鮮の核開発については口をつぐんでいまし、この発言への反発が、左翼団体から起きているとしますと、やはり、この事実を裏付けることにもなります。

 最も避けるべき事態は、こうした発言への非難が、オープンな核議論を封じることになり、日本国の安全が脅かされることです。日本国のみならず、核拡散の危機を前に、NPT体制の行方も議論せねばならぬ大事な時期なのですから。反核運動の背景には、国民の多くも疑問を抱いており、発言に対して評価するのは、反核団体の実態を明らかにしてからでも遅くはないと思うのです。

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