時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国は通貨統合よりも元の国際通貨化を狙う?

 民主党政権は、東アジア共同体の枠組みで通貨統合を目指すと主張しています。しかしながら、中国にとっては通貨統合のメリットは低く、むしろ、人民元の国際通貨化を狙うのではないかと思うのです。

 国際通貨の認定には、定まった基準や条件があるわけではなく、貿易決済で占める割合が高いほど、国際通貨として使用され、外貨準備としても外国も保有するようになります。中国は、既に世界の工場と化したのですから、本来であれば、元取引が増加し、元は、自然に国際通貨化するはずです。しかしながら、中国政府は、輸出競争力を維持するために元安誘導の為替操作を行う必要があり、これまで元取引の自由化を拒んできたのです。さて、金融危機からドルに不安を覚えた中国が、もし、積極的に国際金融における自国の地位を確立したいと考えるならば、採り得る政策は、貿易決済での元の使用を解禁し、元の国際通貨化をはかることです。実際に、本日の新聞では、元建て決済を外資に解禁するとの記事が掲載されていました(本日付日経朝刊)。

 中国の動向を観察しますと、東アジアの通貨統合は眼中になく、元の国際化を急いでいるように見えます。しかしながら、その一方で、中国は、急激な元高に見舞われ、並行して輸出競争力も低下しますので、自らの経済基盤を揺るがすことにもなりましょう。結局、この政策は、両刃の剣となりそうなのですが、日本国政府は、暫く、中国政府の政策方針を見極める必要がありそうです。
 
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