時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国家戦略局は違憲だった?

 民主党政権の成立とともに国家戦略局が設置されつつも、その存在意義や権限が曖昧であり、すでに開店休業の状態とも伝わっております。考えても見ますと、そもそも、この国家戦略局の合法性が怪しいとも思えてくるのです。

 何故怪しいのかと申しますと、国家戦略局は、国会による立法ではなく、「政令」によって設けられているからです。憲法第73条第6節には、内閣の職務の一つとして「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること・・・」とあります。この条文で注目すべきは、”憲法および法律の規定を実施するために”という条件が付されていることです。つまり、憲法や法律の根拠なくして「政令」が制定できるわけではないのです。もし、”国家戦略”という重要な政策決定を行うことができる機関を、内閣が「政令」をもって設立できるとしますと、”独裁者”や”総統”といったポストも新設できることになります。

 マスコミでは、国家戦略局の法的な根拠についての報道は乏しく、議論もなければ、識者からの違憲を疑う見解も聞こえてきません。もし、「政令」による新たな機関の設置が、憲法で定められた国家機構や権限の所在を変更するとなりますと、これは、大いに問題にしなければならないのではないかと思うのです。

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