時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

似て非なる”地方分権”と”地方主権”

 民主党政権では、地方自治体の権限拡大を促進することを目的として、”地方主権”なるスローガンを唱えるようになりました。これまでは、”地方分権”という用語が一般的には用いられてきたのですが、”地方主権”と”地方分権”、この両者は、似ているようで全く違う方向性を目指していると思うのです。

 地方分権の考え方の根底には、国家主権が不可分であるとする前提があります。地方分権では、国家主権は一つであるけれども、主権から発する政策権限については、地方自治体に委任できると考えるのです。一方、地方主権となりますと、国家の主権は不可分ではなく、日本国は、主権を有する地方が結合した形態、つまり、連邦、あるいは、連合国家と言うことになります。地方が主権を保有する連邦国家であるならば、地方が離脱する可能性もあり、国家の分裂を含意してしまうのです。

 民主党政権では、定住外国人への参政権付与法案の国会提出を検討していると伝わりますが、”地方主権”と一体化しますと、将来に禍根を残す結果を招くかもしれません。諸外国に誤ったメッセージを送ることにもなりかねませんので、この用語の使用はやめた方がよいのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>