時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

密約批判は核の傘撤去のための三段論法?

 昨日も、新聞等で、日米間に核持ち込みの確約があったことが、関係者の証言で明らかとなったことが大々的に報じられていました。この一連の政府と報道のスタンスから判断しますと、密約そのものを追求することよりも、核の傘を撤去するための三段論法として、密約が利用されているようにも思えるのです。

 三段論法とは、A=B(大前提)、B=C(小前提)であるならば、A=C(結論)とする結論を得ることです。この方式を、密約問題に当てはめますと、A=悪、B=密約、C=核持ち込みとなり、密約は悪い(A=B)、核持ち込みは密約である(B=C)、故に、核持ち込みは悪い(A=C)、ということになります。数式としては正しいように見えるのですが、A、B、Cが同質ではなく、かつ、文の意味として、Aが”悪い”といった形容詞である場合には、三段論法の罠に嵌ることになります。

 核持ち込み問題については、密約の存在の如何を問わず、核の持ち込みの是非を、ストレートに論争すべきなのではないかと思うのです。密約を非難することが、核の傘を拒否することを意味するならば、それは、日本国の安全保障体制を揺るがす事態に発展するのではないでしょうか。

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