時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

安全保障政策―一国主義への傾斜は安全か

 我が国の歴史を振り返りますと、他国と同盟を結成したことはあっても、”同盟軍”という形態で戦争を行ったことは殆どありませんでした。第二次世界大戦も、独伊と三国同盟を締結しながら、結局は、単独で戦争を遂行しました。こうした経験が、普天間基地問題といった安全保障政策にも少なくない影響を与えているように思えるのです。

 第二次世界大戦の時から、連合国側では合同軍を結成しましたし、現在でも、NATOでは統合軍の形態で戦闘が行われています。また、東西冷戦期の陣営対立の構図にあっては、一国による単独の闘いは想定されず、常に同盟軍による戦闘が念頭に置かれていました(超大国を相手に一国で戦うことは、もはや不可能に・・・)。その一方で、日本国は、日本国憲法第9条の問題もあって、個別的自衛権でさえ覚束なく、ましてや、陣営対立における自衛隊の参加は想像だにされませんでした。こうした自国防衛に傾斜した認識が、日米同盟と在日米軍の存在意義に対する理解を鈍らせたとも言えるのではないかと思うのです。

 現在、中国の軍拡やイランと北朝鮮との軍事分野における協力関係の深化など、日本国を取り巻く国際情勢は必ずしも平穏ではありません。集団的自衛権さえ認めようとしない政府の一国主義的な政策方針が、国際社会やアジアの安定に繋がるのかどうか、原点に返って考えてみることも決して無駄ではないと思うのです。もし、近隣諸国で有事が発生した場合、日本国は、素知らぬふりを決め込むことができるのでしょうか。

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