時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主党の破壊エネルギーが国を壊す

 先日開かれた民主党の党大会で、ある女性議員が行った検察への”宣戦布告”は、与党の党大会としては異常な光景でした。野党時代に培われてきた”何でも反対”は、与党となってからは、その矛先を国家の制度そのものに向けているのではないかと思うのです。

 権力が腐敗することは世の常ですので、現代の民主主義国家では、外部から腐敗をチェックし、排除する制度を設けています。このため、政治家といえども、違法行為や不正を働いた場合には、警察や検察が動き、裁判所という裁きの場に引き出します。この仕組みは、国家の健全性を保つためには必要不可欠の制度であり、中央集権制の強い中国などで、権力者の腐敗や汚職問題をなかなか退治できない理由もここにあります。政権発足以来、権力集中に努めてきた民主党が、検察を非難し、情報漏えいなどを理由に調査委員会を設置しようとする動きは、まさに、この腐敗排除のための仕組みを取り除こうとしているように見えるのです。もし、この安全装置がなくなれば、当然に、政治権力は暴走を始めます。

 民主党が、政権与党になれば、全ての権力を握り、自らの思うがままに国を動かせると考えているとしますと、それはあまりに傲慢です。正当なチェック機能でさえ、民主党の目には、自らに刃向かう勢力として映り、”何でも反対”の行動パターンが、破壊エネルギーとなって国家に襲いかかっているかのようです。疑惑の真偽は、裁判で明らかにすべきであり、検察の捜査を妨害するような行為は慎むべきと思うのです。

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