時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

検察批判への世論誘導?

 昨日、足利事件で冤罪となった菅家さんが、事件当時の検察官に謝罪を求めたところ、その言葉を得ることができなかったとする事件が大きく報じられました。このニュースは、検察批判とも読みとれましたが、冤罪事件が発生した理由が、不正確なDNA鑑定であったことを考えますと、一概には、検察を責めることはできないように思うのです。

 何故ならば、検察もまた、このDNA鑑定の結果を、”動かぬ証拠”として信じていたからです。もし、何らの証拠もなく、犯人と断定するような発言をしたとしましたら、それは、検察側が謝罪すべきこととなりましょう。しかしながら、誰もがDNA鑑定を最先端の科学技術の成果として過信していた当時にあっては、検察も裁判所も疑うことなく、この鑑定結果の証拠力を認め、判決の判断材料としたのです。政府が採用した捜査手法の誤りによって発生した冤罪事件は、国家に責任があるのであって、その結果得られた証拠を信じた人々には、責任がないと思われるのです。

 このニュースが、民主党が、小沢氏の任意聴取をめぐって検察批判を強めている時期に報じられたことを考えますと、マスコミによる世論誘導なのかとも疑ってしまいます。冤罪事件はあってはならないことですが、何か、意図的に問題の本質がずらされているように思えるのです。

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