時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

外国人地方参政権―園部元最高裁判事の誤り

 今日にまで続く外国人参政権論争の出発点は、平成7年の外国人参政権をめぐる最高裁判所の判決の「傍論」部分にあります。最近に至って、園部元最高裁判事が、地方参政権を認めた「傍論」には、政治的な配慮があったことを明言しておりますが、この件に関して、氏は、以下のような誤りを犯したと言えます。

 第一に、法に従って判断すべき判事が、政治的な判断を行ったことです。司法の役割は、あくまでも法に照らして裁判を行うことであり、政治の領域に踏み込むことは越権行為となります。第二に、判断の前提は、長期にわたって居住している韓国籍特別永住者を想定して、とのことですが、最高裁判事が、特定の国を擁護することは、司法の中立性を揺るがせます。また、特別永住者にも移動の自由が認められている以上、長期にわたって居住している特別永住者参政権を限定することは非現実的です(他の地方に移動すれば、地方参政権を失う?)。第三に、園部元判事の贖罪意識に基づくものと説明されたようですが、個人的な意識で憲法判断を行うこともまた、裁判の公平性に反しています。

 以上に述べたように、地方参政権騒動を起こした張本人として、園部氏元判事には問題点が多いのですが、一つだけ、プラスの評価があるとしますと、民団などによる圧力が強まる中で、最高裁判決の傍論の経緯を明らかにし、判決が金科玉条ではないことを認めたことです。この発言により、法案推進派は法的な根拠を失うことになったことは、ある意味において、自分でまいた種を自分で刈り取ったということになるのかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/link.php?626231">人気ブログランキングへ</A>