時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

労働者の国に労働者の権利を教える本末転倒

 最近、中国で労働争議が多発していることを受けて、中国に進出している日系企業では、日本式労働組合の手法を教えるべきという意見も聞かれるようです。プロレタリアート独裁を掲げて建国した国の国民に、労働者の権利の守り方を教えなければならないとは、何とも、皮肉なことです。

 結局、実質的な意味において、経済システムとしての共産主義体制に終止符を打ったのは、共産党自身であったということもできます。何故ならば、マルクスは、プロレタリアート独裁が実現すれば、資本家との間の階級闘争は、永遠に終わると主張したのですから。しかしながら、現実には、中国では、外国から企業を誘致する一方で、国民を低賃金に甘んじる労働者としたのですから、最初の出発点に戻ったことになります。

 今後とも労働争議が激しくなるとしますと、日系企業は、ポスト共産主義の時代を見据えるべきかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<a href="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</a>