時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

アメリカ銃規制の違憲判決と憲法第9条

 昨日、アメリカの連邦最高裁判所において、市民の銃保持を禁止したシカゴ市の条例を違憲とする判断が下されました。判決理由は、アメリカ市民には、銃を保持して自らを守る自衛権憲法上認められているということでしたが、この問題、憲法第9条にも通じるように思えるのです。

 銃規制賛成派は、銃の保持の禁止=犯罪の消滅・減少と捉えているようです。しかしながら、アメリカの広大な国土と人口密度を考えますと、犯罪者に襲撃された人が警察に通報し、何キロも離れた警察署から警官が犯人の逮捕に向かうまでの時間に、命を落としてしまう可能性はかなり高いと言えます。銃の不保持は、必ずしも犯罪の消滅・減少をもたらさないかもしれないのです。同様のことは、憲法第9条にも言えます。憲法第9条擁護論者は、この条文を文字どおりに実現すれば、平和がおのずと訪れると信じていますが、現実には、国際社会には、侵略に即応する”警察官”さえ存在していません。国連安保理は、常任理事国に拒否権を認めており、常任理事国の一国が侵略国である場合には、もはやお手上げです。

 自衛権とは、国のレベルであっても当然に備わるべき権利であり、この権利を認めませんと、逆に、侵略が増加する可能性さえあります。アメリカの銃規制問題は、我が国にあっても、安全というものについて考える貴重な機会になるのではないかと思うのです。

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