時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

司法の独立を踏みにじる閣議決定

 本日の朝刊に、政府が、那覇地検の判断に関して「国際関係への影響についても犯罪後の状況として考慮することができる」とする答弁書閣議決定したという記事を読み、驚きを禁じ得ません。この答弁、司法の独立を真っ向から否定するものだからです。

 明治24年、訪日中のロシア皇太子を日本の巡査が切りつけた大津事件の裁判に際して、対露関係の悪化を懸念する政府の再三の圧力にも拘わらず、大津地裁の裁判官が、圧力に屈することなく、法律に基づいて判決を下したことは、今でも先人の偉業として語り継がれています。政府の心配をよそに、大津事件判決をきっかけとして、日本国は、司法制度を整えた近代国家として認められ、治外法権を定めていた列強との間の不平等条約も、相次いで改正に向かったとされています。

 この事件から110年を経た現在、民主党政権は、逆の方向に、全力で舵を切ろうとしているように見えます。中国は、”遅れてきた帝国主義の国”との指摘がありますが、日本国もまた、中国の道づれとなって、前近代国家へと逆戻りしそうなのです。民主党政権は、我が国に、国家的な危機をもたらしているのではないでしょうか。

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