時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”日本モデル”から”国連モデル”に切り替えた韓国

 本日の新聞に、刑事司法も「韓国に学べ」という時評が掲載されておりました。このタイトルにどこか違和感を覚えたのですが、よく考えてみますと、韓国は、目指すモデルを日本から国連に切り替えた、ということなのではないかと思うのです。

 紙面の記事によりますと、韓国の刑事司法制度は、併合時代を踏襲して、日本国の制度をモデルとしてきたようです。ところが、最近に至り、国連の自由権規約に従って相次いで法改正を進め、取り調べの全面可視化や身柄拘束率を下げるための保釈保障保険制度などを導入したそうなのです。近年の積極的な死刑制度の廃止への取り組みも、この文脈から理解することができます(国連事務総長が、韓国出身であることも原因か…)。

 国連=先進的=国際標準という思考からは、いち早く制度改革に踏み出した韓国は、”先をゆく”ということなのでしょう。しかしながら、取り調べの可視化自体は、アメリカ、オーストラリア、ニュージランド、カナダ・・・といった諸国で既に実施されていますので、「韓国に学べ」はいささか不自然です。また、身柄拘束が率が下がっても、治安の悪化を招いては元も子もありません。治安状況は、国情によって違いがありますので、必ずしも国連モデルがベストとは限らないのですから。

 最近、日本国の遅れや衰退を強調し、韓国を持ち上げるマスコミの風潮には、案外、”国連モデル”の”実現度”が関係しているのかもしれません。

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