時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

肝炎訴訟―どこまで政府は責任を負うべきなのか

 2008年のC型肝炎訴訟の和解に続き、B型肝炎訴訟でも、地裁は、巨額の財政支出を要する和解を提示したそうです。政府は、この和解案を受け入れる方針とも報じられていますが、政府の政策や事業によって、国民が被害を受けた場合、どこまで政府は責任を負うべきなのでしょうか。

 例えば、政府がインフレ政策を実施した結果、国民の預金が目減りしたとしても、政府が責任を認めて、国民の損失を補填するとは思えません。公害にしても、事故にしても、政府の責任を問おうとすれば、きりがないのです(戦争被害の賠償を訴えている人々もいる・・・)。特に薬害の場合は、厚労省の認可、という事実だけで充分ですし、B型肝炎の場合には、予防接種が感染ルートの一つであったため、政府を被告席に座らせることができました。政府がわずかでも関与していれば、際限なく訴訟に持ち込めるとしますと、今後とも、この種の訴訟は増加することになりましょう。しかも、和解金や賠償金に上限がないとすれば、なおさらのことです。

 政府の政策や事業の結果については、政治家も国民も、責任の所在について根本的な議論を行うべきですし、この種の被害については、個別に”ばらまく”のではなく、医療費補助や治療方法の研究・開発のための基金を設けるといった方法で対処すべきなのではないでしょうか。

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