時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

我が国の原子力産業は何処へゆくのか

 福島第一原発の事故により、政府は、原発を主力に据えた既存のエネルギー政策を白紙に戻すそうです。この方針転換は、国民生活のみならず、産業にも当然に影響を与えるはずなのですが、原子力産業に関する議論は聞こえてきません。

 懸念すべきは、政府主導により、我が国の原子力技術が、中国や韓国にそっくり移転されてしまうことです。折しも、福島で、日中韓の首脳会議が開催されるますし、特に原子力安全について、定期協議の場も設けることに既に合意しているそうです。両国との間には、原子力協定も締結されていますので、技術移転が容易となる環境は整っています。これまでのところ、反原発の声は、中韓の政府からは上がっていませんので、我が国だけが、優位にあった原子力産業を放棄し、中韓に譲るという展開も否定できないのです。もし、こうした事態となりますと、我が国の高い電力コストは、国際競争力において不利となり、製造拠点も、廉価な電力を武器とする両国に流出することになりかねません。

 中韓民主党政権にとりましては、望ましい展開なのでしょうが、原子力技術は、未だに発展途上にありますので、現段階で放棄することには疑問があります。原子力産業の行方を含めた広範な議論なくして、政府が、またもや独断で決定を下すとしますと、後世に禍根を残すのではないかと思うのです。

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