時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”評価は歴史の中で”は逃げ口上

 浜岡原発の運転停止要請の判断について、国会で妥当性を問われた菅首相は、”評価は歴史の中で判断いただきたい”と応じたそうです。この返答、体裁のよい逃げ口上ではないかと思うのです。

 何十年も後になって、国民に隠されてきた情報や事実が明るみに出たり、時代の流れの中で人々の評価基準が変化したことで、当時にあっては厳しい非難を受けた判断が、実は、適切なものであったとして、評価が上がることがままにはあります。もちろん、この逆パターンもないわけではありません。このことは、たとえ誤った判断であっても、評価時点を未来に移してしまえば、現時点での評価を相対化することができることを意味しています。つまり、”将来の歴史の評価”は、政治家にとっては、万能の逃げ口上になり得るのです。

 そうであるからこそ、政治家は、将来の評価に耐えうると主張する根拠を、国民に丁寧に説明すべきですし、判断に至った過程を明らかにすべきです。密室において独断で重大な決定を行いながら、評価は将来に任せるでは、あまりに無責任であると思うのです。

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